1/1 | 0410奈良田第一発電所駐車場ー0650あるき沢橋登山口ー0915池山小屋ー1230ボーコン沢の頭付近テント場ー1440八本歯のコルー1730テント場 |
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12/31〜1/2。年末年始は長期のお休みを頂いて北岳へと雪山登山行ってきました。
北岳は標高3192m。南アルプスの盟主にして、日本で2番目に高い山です。”バットレス”とはその山頂直下から東面に向かって広がる高差600mほどの大岩壁を指します。
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今回のお目当ては一般登山からの登頂ではなく、バットレス第四尾根の登攀。夏季はバリエーション登山初級者向けのルートで1泊2日程度の行程で難なく行けますが、冬になると一転、雪崩の危険性とラッセルの負担から大樺沢の夏季一般登山道は利用できず、だいぶ手前の麓から長距離の縦走をしなければなりません。氷雪壁と変貌するルート自体もそれなりに難易度が高まります。
紅白歌合戦がちょうど終わりそうな頃に起床し、年明け早々の明朝に山梨の山奥、奈良田へと車を走らせる。
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奈良田からは冬季通行止めのスーパー林道を暗闇のなか、あるき沢橋の登山口までひたすら歩く。およそ行程は12km。3時間ほどの冗長な道のりだが、行きはまだ元気なものです。道中談笑を楽しみながら歩けば時間が過ぎるのは早い。
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舗装路の林道歩きには雪山登山靴よりアプローチシューズが非常に有効だった。行程を一日追加して、あるき沢橋で一泊すると負担は減るかもしれない。
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今回は大晦日の悪天候を考慮して入山を一日遅らせた。前日の降雪によりラッセルの負担があることが予想されたが、トレースはバッチリ。意外にも登山者は多かったようだ。3人で荷物を均等に分散させた(ひとり20kg弱)こともあり、予想以上に早いペースで稜線まで上がることができた。暖冬の今年は他の山域でも顕著だが、やはり南アルプスも例年より積雪はだいぶ少ない模様です。
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無風快晴の池山吊尾根を進み、予定通り”ボーコン沢の頭” 手前の樹林帯を幕営地とした。テントはこの先も張るスペースはあるが、ここは3000m近い稜線。風を考慮するとやはり樹林帯で幕営するのが無難だと思う。八本歯のコルで泊まっていたパーティのテントは、翌日の強風で今にも飛ばされそうな感じでした。
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小休止の後、取付きの偵察へと向かいました。ここでようやく北岳バットレスとご対面。この景色を見るためだけでもここに来る価値はあると言えるかも知れない。特に雪を纏った北岳は威風堂々とした姿で圧倒されます。
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”バットレス”とは元々はヨーロッパの建物で見られるような特徴的な建築様式を意味するが、転じて、山の世界では山頂を支えるように突き出している岩壁のことを指します。目指す第四尾根はバットレス中央の最も顕著な支稜です。
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四尾根へは”八本歯のコル”から大樺沢の夏道登山道を200mほど下り、適当なところからトラバースして取り付きます。少雪といわれる今冬でも、雪が風で飛ばされて吹き溜まる沢筋では、時折り胸くらいまでのラッセルとなります。雪崩の痕跡も随所にある。
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雪の状態を慎重に見極めながら、翌日の労力を軽減するためにトレースをつけます。すでに12時間行動して疲れも出てきたが、これも登攀を成功に導くためには必要なプロセスです。結果、半分くらいまでトレースをつけることに成功。初日の行程としてはこれ以上ない成果でした。
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翌日は4時にテント場を後にする。雪が締まって雪崩の危険も少ない日の出までにアプローチを終わらせる作戦です。
しかし、昨日の好天はどこへやら…、稜線上は20〜30m/sほどの猛烈な強風…。天気も悪化傾向。
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視界不良による行動不能、強風による滑落のリスク等々と、登りたい気持ちを天秤にかけ、悩み抜いた末に登攀は危険と判断、中止にしました。
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せっかくなので、一般登山道から北岳の山頂は踏みました。下山時、南から急速に暗雲が立ち込めて、山頂付近は完全に雲につつまれていくのを目にして「山ってやっぱり怖いな」と改めて感じました。下山は行きより長く感じました。最後の3時間の林道歩きはしんどかった…。
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今回は敢えなく敗退山行となってしまったが、近いうちに再挑戦したいです。
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山の用語集 | |
アプローチシューズ | クライマー御用達の靴。スニーカーに近いものが多い。目当ての岩壁に行くまでにも簡単な岩登りがあったりするので、ソールはタコの吸盤みたくなってたりする。 なかにはクロックスを”アプローチシューズ”と言い張る強者もいる。筆者の愛用は厨房靴。安価で防水でハイフリクションで脱ぎ着しやすいのでおすすめ。 |
ラッセル | 雪を掻き分けて道を作りながら進むこと。くるぶし〜バンザイラッセルまで色んなケースがある。大抵1パーティーに1人はラッセル大好き人間がいるので率先してやってもらおう。 |
トレース | 踏み跡のこと。なかには人のトレースを辿ることを良しとしない変態もいる。そっと我が道を行かせてあげよう。 |
奈良田 | 山梨の山奥にある今にもダムの底に沈みそうな集落だが、実はものすごく古い歴史をもつ。世界最古の温泉宿があったり、奈良時代の天皇も湯治に来たとか。ちなみにシカがめちゃくちゃ多い |
登攀(とうはん) | 攀(よ)じ登ること。つまりクライミング。 |